音信不通になった相続人との間で、住所の秘匿決定を得た上で、依頼者が負担した葬儀費用等も含めて遺産分割調停が成立した事例

ご依頼者属性
年代:30 代
被相続人との関係:子
エリア:千葉県
ご依頼プラン:遺産分割調停プラン
相続財産
プラスの財産の種類:預貯金、不動産
マイナスの財産の種類:無し。ただし、被相続人の葬儀費用等は依頼者が負担した。
争点
・被相続人が費消した他の相続人(配偶者)の財産の返還
・依頼者が他の相続人に支払う代償金の額
相談の経緯
相続人は、被相続人の配偶者と被相続人の子(依頼者)であった。当初は遺産分割の協議で依頼を受けた。しかし、途中から他の相続人と連絡を取ることができなくなってしまい、音信不通となった。
協議を続けることが困難となったため、遺産分割調停の申立てを行うこととなった。依頼者は、過去に他の相続人から暴力を振るわれたことがあったため、現住所の秘匿を希望した。依頼者の現住所の秘匿を求め、秘匿決定の申立ても併せて行った。
弁護士の対応
他の相続人は初回期日を欠席した。このままでは調停が進まないことから、裁判所から出頭勧告を行ってもらった。
第2回期日から他の相続人も出席し、話し合いが始まった。
他の相続人は、被相続人が過去に、配偶者である他の相続人の預貯金を費消したことを理由に、500万円程度の返還を求めてきたため、この点が争点となった。
また、依頼者が遺産の不動産の取得を希望したため、他の相続人に代償金を支払うこととなり、その代償金の額も争点となった。
預貯金の返還の点については、他の相続人の主張が遺産分割の審判になったとしても認められないことを、弁護士が調停委員を介して粘り強く説明し、調停委員からも他の相続人を説得してもらった。
また、不動産の代償金の点については、代償金の額を検討するに当たり依頼者が負担した被相続人の葬儀費用等も考慮して欲しい旨主張した。
結果
調停の申立てから約8か月後、第5回期日において、最終的に他の相続人は預貯金500万円程度の返還請求ができないことを納得した。そのため、依頼者は預貯金の返還として一切負担することはなかった。
また、不動産の代償金についても、依頼者が負担した被相続人の葬儀費用やその他の事情も考慮してもらうことができ、代償金の額を200万円程度抑えることができた。
担当弁護士の所感
遺産分割審判になった場合には考慮してもらうことができない主張であったとしても、伝え方、理由付けの内容や方法によっては他の相続人に納得してもらうことができる場合もあります。そのような柔軟な解決が可能なのが調停の意義の一つです。

・千葉市緑区出身
・千葉県立千葉高校卒業
・早稲田大学教育学部卒業
・千葉大学大学院専門法務研究科修了
・千葉大学大学院専門法務研究科にて法律文書の作成指導
・千葉市内の法律事務所にて実務経験を積み、とびら法律事務所設立
・3児の父