遺産分割協議とは?進め方や注意点について弁護士が解説
遺産分割は、大切な方が亡くなった後、必ず直面する重要な手続きの一つです。しかし、実際に遺産をどのように分割するかで、相続人間でトラブルが生じてしまうことも少なくありません。
そこで今回は、遺産分割協議とは具体的に何をするものか、その進め方や注意点、弁護士に相談するメリット等について詳しく解説します。
遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、亡くなった方(被相続人)の遺産を相続人全員で話し合い、誰がどの財産をどのように相続するかを決定する手続きです。
例えば、亡くなった方の自宅を誰が引き継ぐか、預金をどう分けるかなどを話し合って決めます。裁判所を利用せずに、当事者同士で合意を形成するため、相続人全員の合意が必要です。
遺産分割協議の進め方
遺産分割協議は一般的に以下の流れで行われます。
①相続人の確認
遺産分割協議は相続人全員で行わなければ無効になります。そのため、まず戸籍謄本などを取得して、誰が相続人なのかをしっかり確認します。
古い戸籍謄本が焼失等して取得できないケースもあり、相続人が戸籍から特定できないようなケースもあります。このような場合の対応方法等については、経験豊富な弁護士に相談をされると良いでしょう。
また、相続放棄をした方がいる場合には、その方は相続人から外れますので注意が必要です。
②遺産の範囲を明確にする
相続財産には不動産や預貯金、株式などがあります。財産が何であるかを明確にし、漏れがないよう一覧にまとめます。
遺産を正確に把握するためには、亡くなった方に近しい関係の人に話を聞き、その方が把握している事情を確認し、また、亡くなった方のご自宅に残された資料をもとに、銀行や証券会社、役所等に問い合わせをすることも重要になります。
③遺産の評価を行う
特に不動産の評価や、非公開株式の評価は難しいです。弁護士実務では、様々な算定方法を検討しながら、適切な価値を算出していくこととなります。
遺産の評価方法で揉めてしまう可能性がある等、円滑な話し合いを巣進めるのに不安がある場合には、協議の前に、経験豊富な弁護士に相談をすることが良いです。
④相続分を決定する
法律で定められた相続分(法定相続分)をベースとして、具体的な取得額を決定することが一般的です。
また、相続財産の形成・維持に向けて特別な寄与をした方や、逆に、相続財産の前渡しに当たるような生前贈与(特別受益)等があれば、それを考慮して調整します。
さらに、遺産分割協議の段階では、上記のほかにも、個別具体的な事情をもとに柔軟な話し合いをすることで、円滑な協議を進めることができる場合もあります。円滑な協議に向けた方針でお悩みの方は、弁護士と共に方針を検討されると良いでしょう。
⑤財産を具体的に分割する
誰がどの財産を取得するのか具体的に決定します。例えば、夫が亡くなった場合に、自宅は妻が、預金の多くは子どもが、といったように、それぞれの希望や事情に合わせて調整します。
特に、不動産の分割方法が問題になることが多いです。不動産は、以下の順番で分割方法を検討するのが一般的です。
①現物分割
一部の者が不動産を取得し、他の者は他の財産を取得する分割方法です。
②代償分割
一部の者が不動産を取得する代わりに、他の者に代償金を支払う方法です。
③換価分割
不動産を売却し、換価して得た金銭を分割する方法です。
④共有分割
分割と名がついていますが、実際は共有のままにします。不動産の取得を希望する者がおらず、また売却することもできない場合に採られます。
⑥遺産分割協議書を作成する
決まった内容を明確に記した「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員で署名押印します。
遺産分割協議書には、実印を用いて押印をすることが一般的であり、合意後の手続に向けて印鑑登録証明書も合わせて取得することがあります。
相続人が多数に上る場合には、1つの遺産分割協議書に相続人全員で回し書きすることは困難ですので、代わりに、遺産分割協議証明書を作成することもあります。
これらの書面は、不動産の名義変更等、合意後の手続に必要になることがあります。
また、後々のトラブル回避にも非常に重要です。
⑦名義変更など手続きを実施する
不動産や預貯金口座の名義変更、不動産の売却・換価、口座の凍結解除等を行い、遺産分割協議書に基づく権利を実現します。
遺産分割協議の注意点
遺産分割協議には次の注意点があります。
全員の合意が不可欠
相続人が一人でも欠けると無効になります。意見が対立した場合、多数決での決定は認められません。
そのため、一部の相続人との間でどうしても協議がまとまらない場合には、全員を当事者として、遺産分割調停といった裁判手続を検討する必要があります。
意思表示の有効性
認知症などで判断能力がない相続人がいる場合、当該相続人との間でした協議は無効です。このような場合は、成年後見制度等を利用して合意に向けた手続を行う必要があります。
一部合意も可能
全財産について一度にまとまらない場合、先に合意できる財産だけ分割を進めることもできます。
ただし、後での変更は難しくなるため注意が必要です。
遺産分割協議でよくあるトラブル
遺産分割協議でよくあるトラブルは、一例以下のようなものが挙げられます。
✓どのような遺産があるのかわからない。
✓一部の相続人が財産を独占しようとして話がまとまらない。
✓不動産・未上場株式の評価が合意できず紛争になる。
✓遺言書が見つかり、遺産分割協議がやり直しになる。
こうしたトラブルを避けるためには、協議開始に向けて入念な事前準備がとても大切です。
弁護士に依頼するメリット
遺産分割協議を弁護士に依頼するメリットは大きく3つあります。
①トラブル予防
弁護士が客観的な視点で調整をすることで、無用な感情的な対立・トラブルを未然に防ぐことができます。
②適正な遺産評価
評価が難しい不動産の価値算定も、公正で納得できる評価を提示しやすくなります。
③手続きのスムーズな進行
複雑な遺産分割協議書の作成や、合意後の名義変更などの煩雑な手続、相続税申告等の派生手続も、弁護士が、適宜税理士や司法書士などの外部専門家と連携をしながらサポートしますので安心です。
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・千葉市緑区出身
・千葉県立千葉高校卒業
・早稲田大学教育学部卒業
・千葉大学大学院専門法務研究科修了
・千葉大学大学院専門法務研究科にて法律文書の作成指導
・千葉市内の法律事務所にて実務経験を積み、とびら法律事務所設立
・3児の父