相続相談を弁護士にするメリット・相談するタイミング
いつ(どのタイミングで)相談すべきか
相続の問題を弁護士に相談するタイミングについて、
「弁護士に相談すると、すぐに依頼しないといけない・・・」
「弁護士に相談するのは、調停や裁判になってしまったとき・・・」
「弁護士に依頼すると、大ごとになってしまうのでは…」
このようなイメージをお持ちの方は多いです。しかし、そのご心配は不要です。
弁護士は、調停や裁判などの調停や訴訟手続に対応できる唯一の資格です。一方で、ご依頼者様の代理人として、双方の利害を調整し、話し合いによる解決に導くことが仕事です。弁護士が入ったからといって、問題が大きくなってしまい、解決が遅くなるということはありません。
実際、とびら法律事務所では、ご依頼を受けた事件のうち、半数以上は話し合い(交渉または調停)で解決しています。
また、当事者だけで話し合うと、感情的な言葉の応酬になってしまうことがあります。そうなると、双方、不信感が高まってしまい、スムーズで合理的な解決が難しくなっていきます。
ですので、「他の相続人と考え方が合わない」「話し合いが進まない」「つい感情的になってしまう」と感じたときには、弁護士に相談する最初のご相談のタイミングといえます。弁護士であれば、感情的にならずに、冷静に話し合いを進めることが出来ます。
過去の事例として、他の相続人の主張が法律上、妥当なものか知りたい、という方がご相談にお越しになり、交渉のご依頼をいただいたときのことです。他の相続人に対し、当事務所の弁護士から見解をお伝えしたところ、他の相続人も「弁護士の意見であれば・・・」と納得したようで、早期に解決に至ったということがありました。これが感情的な対立が大きくなった後だと、このようなスムーズな解決は難しかったと思います。早期のご相談が、将来の早期解決につながります。
一般に相談をしたほうがいいタイミングの例として、以下のようなシチュエーションが考えられます。
① 他の相続人の中に、疎遠だった人がいるとき
② 他の相続人との仲が悪い、相性が悪いと感じているとき
③ 他の相続人の連絡先が分からないとき
④ 他の相続人が返事をくれないとき(もしくはスムーズに連絡が取れないとき)
⑤ 他の相続人が自分抜きで、勝手に遺産分割の話を進めているとき
⑥ 予想していたよりも遺産の額が少ないとき
⑦ 遺言があると聞いていたが出てこないとき(もしくは、聞いていた話と違う内容の遺言が出てきたとき)
⑧ 被相続人に、自分が知らない子どもがいたとき
⑨ 他の相続人が遺産を隠しているときや遺産の全体像がわからないとき
なお、参考に、弁護士でもご希望に沿う解決が困難な相談事例も掲載いたします。
・ 相続人の一人が、数十年前に生前贈与を受けているはずだが、資料はなく、本人も受け取ったことを否定している
・ 遺言書には書いていないが、被相続人がある相続人に遺産を残したくないと言っていたので、それを実現したい
誰に相談すべきか?
相続の専門家をお探しの方は、法律事務所だけでなく、司法書士や行政書士、税理士なども、相続問題を取り扱っているため、それぞれどのようなことが出来るので、分かりにくいと感じているのではないでしょうか?
士業は国家資格ですので、法律で、どの士業が何を行うことができ、何を行うことができないのかが定められています。下の表は、各士業の業務領域をまとめたものです。
項目 |
弁護士 |
司法書士 |
行政書士 |
税理士 |
相続調査 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
遺産分割協議書作成 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇※1 |
代理人として交渉 |
〇 |
|||
調停 |
〇 |
|||
審判 |
〇 |
|||
相続登記 |
〇 |
〇 |
||
相続税申告 ※2 |
〇 |
〇 |
※1 実際には、税理士が、遺言書・遺産分割協議書の作成に関与していることが多くありますが、税理士が実質的に書類を作成し助言すること・代理することは、弁護士法等に抵触する可能性があります。
※2 弁護士法3条2項は「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と規定していますが、「弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。」(税理士法51条1項)との規定があるため、実際に相続税申告手続を代理したり、税務調査に代理人として立ち会うためには、上記「通知」を行って、「通知税理士」になることが必要です。
上記の表からわかる通り、弁護士の強みは全部の業務ができる、自分の業務領域から外れるという理由でご依頼を断らなくていい、ということです。もちろん各士業には得手不得手がありますので、最初に弁護士にご相談いただければ、適宜得意な他の士業につなげるハブとしての役割も果たすことが出来ます。これを踏まえて、他の士業との比較で「相続問題は弁護士に相談するべき」理由をご説明いたします。
司法書士ではなく弁護士に相談すべき理由
司法書士は、不動産の名義変更(登記手続き)を行います。
相続人間の利害の調整(例えば遺産分割協議)には関与できず、1人の相続人の代理人として行動することもできません。
相続人間で合意した内容をもとに、相続した不動産の登記手続を行います。
そのため、他の相続人との話し合いが必要な場合は、弁護士に相談する必要があります。
税理士ではなく弁護士に相談すべき理由
税理士は、相続税申告、準確定申告などの税務申告業務を行いますが、司法書士と同じように、相続人間の利害の調整には関与できませんし、1人の相続人の代理人として行動することもできません。
相続人間で合意した内容をもとに、相続税などの税務申告を行います。
やはり、相続人間で話し合いが必要な場合は、弁護士に相談する必要があります。
弁護士に相談すべき理由
そして、弁護士は、他の資格業と異なり、あなたの代理人として他の相続人と交渉、調停や裁判に出席できる専門家です。
弁護士は、相続に関する交渉・調停・裁判、いずれの経験も豊富です。相続の困りごとはまず弁護士にご相談いただければ、全体的・大局的な視点も踏まえて、アドバイスをすることが可能です。また、必要に応じて、司法書士、税理士をご紹介し、相続の登記手続、相続税申告などもスムーズに実現していくことが出来ます。
いきなり初めて会う司法書士や税理士に事情をいちから説明するよりも、それまでの事情を知っている弁護士が間に入って、司法書士や税理士との橋渡しをした方が、ご当事者様の精神的な負担も軽減されます。
相続開始直後、全員の意見が出揃わない段階では、すんなりと話がまとまるのか、そうでないのかは、誰にもわかりません。万が一紛争化した場合も考えて、まず弁護士にご相談されるのが最も確実であり、安心であると考えます。紛争を望まない方には、できるだけ紛争にならないように一緒に考えていきます。
どの弁護士に相談すべきか?(相続問題における弁護士選びのポイント)
相続分野は、人間関係から不動産、金銭、証券など多岐にわたる論点を扱うため、相続事件を数多く解決した弁護士には様々な事件に対応できるノウハウがある一方で、経験の少ない事務所では依頼者の方にとって、最善の提案ができないおそれがあります。また、場合によっては無用に紛争を拡大させ、解決まで多くの時間を費やすおそれもあります。
あまり知られていないことですが、一般の弁護士にとって相続問題の依頼を受ける機会は多くありません。
とびら法律事務所は創業以来家族問題の解決に注力してきた事務所ですので、相続事件の実績が豊富にあります。安心してご相談ください。