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自宅の評価の仕方はどのようにするのですか?

遺産分割において、自宅の評価はまず相続人間の話し合いで決めていきます。といっても何も基準が無く決めていくわけではなく、不動産仲介業者による査定書(ほぼ無料ですが、業者によって評価額がバラバラです)、不動産鑑定士による鑑定書(数十万円程度の費用がかかるので、利用頻度は低めです)などを基準に話し合いを行います。

不動産仲介業者による査定書は費用がかからないので使いやすいですが、各相続人が自分に有利な査定書を提出するのでこれだけでは合意に至らないことが多いです。そこで他の自宅不動産の評価基準となる価格を用いて話し合いを行います。


この価格には主に4通りの価格があります。

①公示価格、②相続税評価額(路線価または倍率方式)、③固定資産税評価額、④実勢価格の4つです。

①公示価格とは、国土交通省の土地鑑定委員会という部署が毎年3月に公表している価格です。全国の標準地の価格を公表しています。インターネットで確認できます。信頼性が高い価格ですが、すべての土地について公表されているわけではないので、必ずしも今回問題になっている土地の価格がストレートにわかるわけではないというデメリットもあります。また、建物は対象外なので、別の方法で評価する必要があります。
②相続税評価額とは、相続税を算出するときの計算方法を遺産分割にも利用しようとするものです。相続税の計算には路線価から計算する方法と倍率方式という方法があります。路線価は、国税庁が公表している価格で、ある道路に面している土地の1㎡あたりの価格のことです。インターネットで確認できます。実際の取引価格の8割程度とされていることと、すべての土地について路線価が設定されているわけではないことがデメリットです。路線価が無い土地の場合、倍率方式という計算方法を取ります。倍率方式は、固定資産税評価額に、その地域ごとの割合(国税庁が公表しています)を掛けて価格を算出します。
③固定資産税評価額は、市区町村が定める固定資産税を算出するための評価額です。土地だけでなく建物にも設定されているので、戸建て住宅などには使いやすいです。公示価格の70%程度に設定されていると言われています。しかし、都市部ほど実際の取引価格よりも低めになっており、一方で地方であればあるほど、実際の取引が成立しないような不動産にもそれなりの評価額が設定されているというアンバランスな側面もあります。
④実勢価格とは、実際の取引価格のことです。実際の取引価格が定まれば一番財産評価としては適切なのですが、実際の取引は買主が多ければ高額で取引されやすく、一方で少なければ価格を下げざるを得ないという側面があり、社会状況にも左右されます。そのため、実勢価格を1つに定めるのはかなり困難です。


ここまでお話した、不動産仲介業者による査定書、公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額、実勢価格などの評価方法を用いて、自宅の不動産の価格をいくらにするのか相続人で話し合いを行っていきます。最終的には、各相続人の主張額のうち、もっとも説得的な価格にすることもあれば、各相続人の主張額の中間値を取ることもあります。遺産分割調停などもを申し立てて、話し合いを尽くしても自宅の評価額が決まらない場合は、裁判所が審判で決定することになります。審判の前に裁判所が選任した不動産鑑定士の鑑定を行うことも多いです。相続人間の納得のためにも、また、鑑定費用の節約のためにも、できるだけ相続人の話し合いで合意できることが望ましいと言えます。

この記事を担当した専門家
弁護士法人とびら法律事務所 代表弁護士 鶴岡 大輔
保有資格弁護士資格、 夫婦カウンセラー(一般財団法人日本能力開発推進協会認定)
専門分野相続、離婚
経歴

・千葉市緑区出身
・千葉県立千葉高校卒業
・早稲田大学教育学部卒業
・千葉大学大学院専門法務研究科修了
・千葉大学大学院専門法務研究科にて法律文書の作成指導
・千葉市内の法律事務所にて実務経験を積み、とびら法律事務所設立
・3児の父

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