Q 遺贈は税金がかかる?

A:遺贈には、原則として相続税がかかります
遺贈によって財産を受け取った場合、原則として相続税の対象になります。
ただし、遺贈を受けたからといって、必ず相続税を払うわけではありません。
相続税がかかるかどうかは、遺贈を受けた財産だけでなく、亡くなった方の遺産全体の金額から判断します。
また、不動産の遺贈を受けた場合には、相続税のほか、登録免許税がかかります。
さらに、相続人以外の人が特定の不動産の遺贈を受けた場合には、不動産取得税がかかることもあります。
遺贈とは?相続や生前贈与との違い
遺贈とは
遺贈とは、遺言によって財産を渡すことです。
通常の相続では、亡くなった人の配偶者や子など、法律で定められた相続人が遺産を受け取ります。このような人を「法定相続人」といいます。
これに対して、遺贈では、法定相続人以外の人にも財産を残すことができます。
たとえば、次のような人や団体です。
・婚姻届を出していないパートナー(事実婚の相手)
・子どもの夫や妻
・お世話になった親族
・友人や知人
・学校、病院、福祉団体など
生前贈与とは
生前贈与は、生きている間に一方が「あげます」と伝え、相手が「もらいます」と答えて成立します。
生前贈与には、原則として贈与税がかかります。
また、贈与税は相続税よりも税率が高めに設定されています。
そのため、渡しかたにもよりますが、同じ金額の財産を受け取る場合には、生前贈与として受け取るよりも、遺贈や相続によって受け取る方が、税金の負担が軽くなることが多いです。
死因贈与とは
「自分が亡くなったらこの財産をあげる」と約束する契約を死因贈与といいます。
死因贈与は遺言ではなく契約です。しかし、亡くなったことをきっかけに財産が移るため、原則として相続税の対象になります。あくまで契約なので、あげる側ともらう側の合意があることが必要です。
まとめ
まとめると、次のようになります。
- 相続:亡くなったことにより、法定相続人が財産を受け取る
- 遺贈:遺言によって法定相続人や第三者が財産を受け取る
- 生前贈与:生きている間に財産を受け取る
- 死因贈与:亡くなったら財産を渡すという契約によって受け取る
相続、遺贈、死因贈与は、いずれも基本的には相続税の問題になります。
遺贈で相続税がかかるかは、遺産全体で判断する
相続税は、亡くなった方の遺産全体をもとに計算します。
まず、次のような財産の金額を合計します。
- 預貯金
- 土地や建物
- 株式などの有価証券
- 生命保険金のうち課税される部分
- そのほかの財産
そこから、亡くなった人の借金や葬式費用などを差し引きます。
そのうえで重要になるのが「基礎控除」です。
基礎控除とは、一定の金額までは相続税がかからない仕組みのことです。
基礎控除は、次の計算式で求めます。
3000万円+600万円×法定相続人の数
たとえば、法定相続人が妻と子ども2人の合計3人であれば、基礎控除は次のとおりです。
3000万円+600万円×3人=4800万円
そのため、遺産全体の金額が4800万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。
相続人以外の人に対する遺贈の場合の基礎控除に注意
遺贈によって財産を受け取った人がいても、基礎控除の金額を計算するときに使うのは、あくまで法定相続人の数です。
たとえば、法定相続人が子ども1人で、友人にも遺贈した場合を考えてみます。
この場合、友人は基礎控除の人数には入りません。
そのため、基礎控除は次のとおりです。
3000万円+600万円×1人=3600万円
財産を受け取る人が2人いても、基礎控除が4200万円になるわけではありません。
財産を受け取る人が増えても、基礎控除が増えるとは限らない点に注意が必要です。
相続人以外の人や兄弟姉妹などが財産を受け取る場合は、相続税の2割加算に注意
相続税には「2割加算」という制度があります。
2割加算とは、一定の人が財産を受け取った場合に、その人が支払う相続税が20%増える制度です。
たとえば、本来支払う相続税が100万円であれば、2割加算によって20万円が加えられ、合計120万円になります。
主に、次のような人が財産を受け取った場合に、2割加算の対象となります。
- 兄弟姉妹
- 甥や姪
- 婚姻届を出していないパートナー
- 子どもの夫や妻
- 友人や知人
遺贈では、相続人ではない人にも財産を残すことができます。
そのため、遺贈を利用するときは、2割加算が問題になりやすいといえます。
不動産を遺贈された場合は、相続税以外の負担にも注意
不動産取得にかかる費用の負担
土地や建物を遺贈された場合は、相続税以外にも、さまざまな費用がかかることがあります。
たとえば、次のような費用です。
- 所有権移転登記にかかる費用(登録免許税や司法書士報酬など)
- 不動産取得税
- 固定資産税
特に、相続人ではない人が不動産を遺贈された場合は、登録免許税や不動産取得税の負担が大きくなることがあります。
また、不動産は、預貯金のように、すぐに税金の支払いに使えるわけではありません。
たとえば、価値の高い土地や建物を遺贈されても、現金をほとんど受け取っていなければ、税金や登記費用を自分のお金から支払わなければならないことがあります。
不動産を売って税金を支払おうとしても、すぐに売れるとは限りません。
そのため、不動産を遺贈するときは、財産の価値だけではなく、受け取る人が税金や管理費を支払えるかどうかも考える必要があります。
遺留分侵害額請求を受ける可能性
さらに、特定の人だけに不動産を遺贈すると、ほかの相続人から不満が出ることがあります。
亡くなった人の配偶者や子どもなどには、「遺留分」という最低限の取り分が法律で保障されています。
そのため、遺贈によって、ほかの相続人が十分な財産を受け取れなくなった場合、遺贈を受けた人が「遺留分侵害額請求」を受けることがあります。
遺留分侵害額請求とは、遺留分を受け取れなかった相続人が、財産を多く受け取った人に対して、お金の支払いを求める制度です。
遺贈で迷ったら、税金だけでなく相続トラブルも含めて弁護士に相談を
遺贈は、大切な財産を希望する人に残すための有効な方法です。
しかし、遺言書に「誰に何を渡すか」を書くだけで、必ず希望どおりになるとは限りません。
遺贈を考えるときは、次のような点にも注意する必要があります。
✓ ほかの相続人の遺留分を侵害しないか
✓ 遺言書の内容が法律上有効か
✓ 誰が遺言の内容を実行するか
✓ 不動産の名義変更をどのように進めるか
✓ 税金を支払うための現金を用意できるか
✓ ほかの相続人から不満が出ないか
弁護士であれば、次のようなサポートができます。
- 遺言書の作成
- 遺留分に配慮した財産の分け方の検討
- 遺言の内容を実行する遺言執行者の選任
- 相続人との話し合いや交渉
- 遺贈を受けた後に起きたトラブルへの対応
遺贈では、税金だけでなく、遺留分や相続人同士のトラブルまで考えておくことが大切です。
遺贈を考えている方や、遺贈を受けたものの、税金や手続きに迷っている方は、早めに相続に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
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出典
国税庁「No.4152 相続税の計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
相続税の計算方法、基礎控除の確認用です。
国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm
2割加算の対象者、兄弟姉妹・甥姪・孫養子の扱いの確認用です。

























